映画・漫画の分析

映画『コールドマウンテン』を分析する

コールドマウンテン

今回は映画『コールドマウンテン』を分析してみるよ。
チエ(仮)
そらまめ
ジュード・ロウかっこいいよね。
うん、色気がすごい!そしてこの髪型ポイントが高い、緩い無造作なくせ毛、私好みです。何かのキャラに使いたい。(画像はトレースです、ニコールの顔が…スイマセン)このお話はアメリカ南北戦争に出征したジュード・ロウ演じるインマンが脱走兵となり、恋人であるニコール・キッドマン演じるエイダのもとに帰る話だよ。今は「シド・フィールドの脚本術」読んでいるんだけどその中で紹介されている映画なんだ。この映画をいつものように「SAVE THE CATの法則」を使って分析してみます。
チエ(仮)

では10種類のジャンルから『コールドマウンテン』の脚本の分類をしてみましょう。

・家の中のモンスター
・金の羊毛
・魔法のランプ
・難題に直面した平凡な奴
・人生の節目
・バディとの友情
・なぜやったのか?
・バカの勝利
・組織の中で
・スーパーヒーロー

この話は恋人のもとに帰る話なので「金の羊毛」ですね。

それではストーリーを分析していきましょう。(以下ネタバレを含みます)

SAVE THE CATの法則」の著者はひとつの物語をブレイク・スナイダー・ビート・シートを使って書き出しています。

ブレイク・スナイダー・ビート・シート
脚本のタイトル:コールド・マウンテン
ジャンル:金の羊毛
監督・脚本:アンソニー・ミンゲラ

ログライン(脚本の内容を1行で簡潔に説明したもの)
アメリカ南北戦争に出征した男が脱走兵となり、恋人のもとに帰る話

脚本の構成を以下の15の展開に分けてみよう。

1.オープニング・イメージ・・・主人公の出発点
2.テーマの提示・・・脚本家の論点・主張
3.セットアップ・・・主要人物全員登場・主人公が勝つためにはどのように変化すべきかの提示
4.きっかけ・・・テーゼの世界が変わる
5.悩みの時・・・何かしらの疑問を抱く
6.第1ターニング・ポイント・・・主人公の意思で出発
7.サブプロット・・・ラブストーリー・一息入れる
8.お楽しみ・・・作品の核心部
9.ミッド・ポイント(見せかけの成功)・・・いきなり危険度アップ
10.迫りくる悪い奴ら
11.すべてを失って・・・死の気配
12.心の暗闇・・・悟りのシーン
13.第2ターニング・ポイント・・・主人公は解決策を見出す
14.フィナーレ・・・新しい世界が生まれる
15.ファイナル・イメージ・・・オープニングイメージと対になる

第1ターニングポイントを探してみましょう。
これはインマンがエイダからの手紙を読みコールドマウンテンに帰ることを決意する場面です。インマンは死罪に値する軍の脱走という大罪を犯しても恋人のもとに帰ろうとします。同時にテーマの提示にもなります。

第2ターニングポイントは赤子と暮らす戦争未亡人を守った後ブルーブリッジ山が見えるところにたどり着く静かな場面です。

インマンが出征すると二人は別々の人生を歩むので2重にエピソードが進んでいきます。
チエ(仮)

そらまめ
この辺が勉強になるね
うん、分析しないと気付かなかった部分だね。私の物語も途中から登場人物は離れ離れになるからエピソードの込め方も2重に考えないといけないね
チエ(仮)

1.オープニング・イメージ・・・南北戦争での戦闘シーン
3.セットアップ・・・エイダと父はインマンの住むコールドマウンテンに引っ越してくる
4.きっかけ・・・インマンが出征する直前、惹かれあう二人はキスをする。
5.悩みの時・・・インマンは重傷を負い、エイダは父を失いさらに困窮する。
2.6.第1ターニング・ポイント・テーマの提示・・・インマンはエイダからの手紙を読み脱走兵となってもコールドマウンテンに帰ることを決意する。
8.お楽しみ・・・インマンは軍を脱走する。
7.サブプロット・・・インマンは牧師と旅を共にする、エイダはルビーに生活を手伝ってもらう。
9.ミッド・ポイント(見せかけの成功)・・・インマンと牧師は義勇軍から逃げおおせる、エイダの隣人サリーは脱走兵の息子をかくまって義勇軍に家族を殺されてしまう。
10.迫りくる悪い奴ら・・・義勇軍につかまったインマンは北軍に襲われ脱走する、脱走兵であるルビーの父がエイダのもとにやってくる。
11.すべてを失って・・・インマンは老婆に助けられる、ルビーの父たちは義勇軍に襲われる。
12.心の暗闇・・・インマンは赤子と暮らす戦争未亡人を守る、ルビーの父が生きていることがわかる。
13.第2ターニング・ポイント・・・インマンはブルーブリッジ山が見えるところにたどり着く。
14.フィナーレ・・・インマンは義勇軍に撃たれて死ぬ。
15.ファイナル・イメージ・・・エイダとインマンとの子供、ルビーの家族と共に穏やかに暮らしている。

こんな感じでしょうか?戦争がはじまり離れ離れになったインマン側もエイダ側も厳しいエピソードが続きますが、インマン側では川でのこぎりを拾うシーンやエイダ側ではルビーの父親らとのささやかな宴などホッとするエピソードがあり緩急のバランスがいいですね。
チエ(仮)

そらまめ
緩急のバランスの良さではロード・オブ・ザ・リングがいい例だね。傷ついたフロドを馬に乗せたアルウェンが黒の乗手を振り切ってエルロンドの館に逃げ込むシーンや、モリアの坑道でガンダルフと失い悲観に暮れる一行がロスロリアンの森に保護される場面など緊張が頂点まで高まって一気にクールダウンすると観客側もほっとするね。
「緊張が頂点まで高まって一気にクールダウン」大事だね、ここテストに出るとこって感じ。静的なシーンが入ることで観客が今までの緊張感のあるシーンを整理して続きが見たいと思ってもらえるようにしていくといいよね
チエ(仮)
そらまめ
それと戦時中の男性のいない家庭の危うさがなんだか怖かった
うん、ナタリー・ポートマン演じる赤子と暮らす戦争未亡人、外を隔てるのはすぐに壊れてしまいそうなドア一枚。無事に暮らせることと絶望の淵に立たされることは紙一重なんじゃないかなって思う。そんなことをイメージしてみることができるっていうのが物語の大切さだと思うんだよね。
チエ(仮)

私はこの物語中の男性の運命のはかなさを思ったよ。インマンの運命それでいいの?私は命のバトンタッチをしたから役割を果たしたみたいなのは、あんまり好きじゃない。私の長編マンガは皆それぞれが夢に向かい艱難辛苦乗り越え、それぞれを補完する展開にしたい
チエ(仮)

そらまめ
夢がないと生きていけない、頑張れチエ!

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