では10種類のジャンルから『コールドマウンテン』の脚本の分類をしてみましょう。
・家の中のモンスター
・金の羊毛
・魔法のランプ
・難題に直面した平凡な奴
・人生の節目
・バディとの友情
・なぜやったのか?
・バカの勝利
・組織の中で
・スーパーヒーロー
この話は恋人のもとに帰る話なので「金の羊毛」ですね。
それではストーリーを分析していきましょう。(以下ネタバレを含みます)
「SAVE THE CATの法則」の著者はひとつの物語をブレイク・スナイダー・ビート・シートを使って書き出しています。
ブレイク・スナイダー・ビート・シート
脚本のタイトル:コールド・マウンテン
ジャンル:金の羊毛
監督・脚本:アンソニー・ミンゲラ
ログライン(脚本の内容を1行で簡潔に説明したもの)
アメリカ南北戦争に出征した男が脱走兵となり、恋人のもとに帰る話
脚本の構成を以下の15の展開に分けてみよう。
1.オープニング・イメージ・・・主人公の出発点
2.テーマの提示・・・脚本家の論点・主張
3.セットアップ・・・主要人物全員登場・主人公が勝つためにはどのように変化すべきかの提示
4.きっかけ・・・テーゼの世界が変わる
5.悩みの時・・・何かしらの疑問を抱く
6.第1ターニング・ポイント・・・主人公の意思で出発
7.サブプロット・・・ラブストーリー・一息入れる
8.お楽しみ・・・作品の核心部
9.ミッド・ポイント(見せかけの成功)・・・いきなり危険度アップ
10.迫りくる悪い奴ら
11.すべてを失って・・・死の気配
12.心の暗闇・・・悟りのシーン
13.第2ターニング・ポイント・・・主人公は解決策を見出す
14.フィナーレ・・・新しい世界が生まれる
15.ファイナル・イメージ・・・オープニングイメージと対になる
第1ターニングポイントを探してみましょう。
これはインマンがエイダからの手紙を読みコールドマウンテンに帰ることを決意する場面です。インマンは死罪に値する軍の脱走という大罪を犯しても恋人のもとに帰ろうとします。同時にテーマの提示にもなります。
第2ターニングポイントは赤子と暮らす戦争未亡人を守った後ブルーブリッジ山が見えるところにたどり着く静かな場面です。
1.オープニング・イメージ・・・南北戦争での戦闘シーン
3.セットアップ・・・エイダと父はインマンの住むコールドマウンテンに引っ越してくる
4.きっかけ・・・インマンが出征する直前、惹かれあう二人はキスをする。
5.悩みの時・・・インマンは重傷を負い、エイダは父を失いさらに困窮する。
2.6.第1ターニング・ポイント・テーマの提示・・・インマンはエイダからの手紙を読み脱走兵となってもコールドマウンテンに帰ることを決意する。
8.お楽しみ・・・インマンは軍を脱走する。
7.サブプロット・・・インマンは牧師と旅を共にする、エイダはルビーに生活を手伝ってもらう。
9.ミッド・ポイント(見せかけの成功)・・・インマンと牧師は義勇軍から逃げおおせる、エイダの隣人サリーは脱走兵の息子をかくまって義勇軍に家族を殺されてしまう。
10.迫りくる悪い奴ら・・・義勇軍につかまったインマンは北軍に襲われ脱走する、脱走兵であるルビーの父がエイダのもとにやってくる。
11.すべてを失って・・・インマンは老婆に助けられる、ルビーの父たちは義勇軍に襲われる。
12.心の暗闇・・・インマンは赤子と暮らす戦争未亡人を守る、ルビーの父が生きていることがわかる。
13.第2ターニング・ポイント・・・インマンはブルーブリッジ山が見えるところにたどり着く。
14.フィナーレ・・・インマンは義勇軍に撃たれて死ぬ。
15.ファイナル・イメージ・・・エイダとインマンとの子供、ルビーの家族と共に穏やかに暮らしている。